鮨職人のお金の話 Part.1「開業資金ていくらかかるの?」
いつかは自分の店を持ちたい!
夢の開業。その日のために日々の修行を積むのはもちろん、お金のこともきっちり計画、準備しておこう。開業費用は決して安くないので、計画的に貯蓄しておくことが重要だ。また、手持ちの現金で開業できる人はごくわずか。自己資金だけで足りない場合は融資を受けるという選択肢がある。開業の夢を現実にするために、どんな準備が必要なのか見てみよう。
開業資金、ざっくりいくら?
過半数のオーナーが500万円〜2000万円で開業しているというデータがある。中小企業リサーチセンターの発行する『新規開業白書(日本政策金融公庫 総 合研究所編)』の統計を見てみると、飲食店の開業資金でもっとも多い数値(頻出値)は1000万円、平均値は1800万円程度ということがわかる。内訳 は、500万円以上1000万円未満、1000万円以上2000万円未満がそれぞれ30%程度で、500万円未満、2000万円以上がそれぞれ20%程度となっている。当然、店舗の大きさや出店する地域によって金額差が生じており、郊外の小規模店であれば500万円でも出店できるが都心や客席数の多い店舗設計の店舗なら1000万円以上見積もるべきだろう。
借り入れって普通なの?
開業にあたってはほとんどのオーナーが自己資金を補填するために借り入れをしている。
自己資金は開業資金の30%が平均で、自己資金以外の調達先は、親の支援、友人からの借り入れ、公庫からの融資などだ。鮨屋の開業に利用できる融資制度は、日本政策金融公庫の「生活衛生貸付」というメニューがあげられる。これは設備資金について7200万円以内で融資を受けることができるというもの。また公庫の場合、「女性または30歳未満か55歳以上の人」を対象に「女性、若者/シニア企業家資金」という メニューもあるが、こちらは生活衛生貸付より金利面で若干優遇されている。さらに、これらに【新創業融資制度】を併用することができるが、この制度が適用されると1500万円以内で無担保、無保証人の借り入れをすることが可能。なお、「保証人なし」の場合は「保証人あり」の場合より金利が1〜2%ほど高くなる。
・生活衛生貸付 :設備資金7200万円以内
・女性、若者/シニア企業家資金 :7200万円以内 うち運転資金4800万円以内
・新創業融資制度 :1500万円以内 無担保、無保証人可
公庫への融資申し込みにはコツがある
日本政策金融公庫へ飲食店開業資金の借入れを申し込む際、職務経験の有無は融資の可否を左右するほど重要だ。
主に以下のような点に注意したい。
・経営者略歴をを伝わりやすく表現する
「どのように表現すれば相手に伝わるか」を心がけよう。
・文章表現+箇条書き
文章で経営者略歴を伝える際、箇条書きも併用。年月,店名,業種等のポイントを箇条書きとし、補足事項を文章で表現しよう。
・写真を使う
融資申込者(経営者)自身が、お店で調理しているところや接客中の写真を載せると、それだけで信憑性や表現力が高まる。
また、グルメ誌や旅行誌など雑誌掲載の経験があれば、こういった情報も掲載しよう。
出典:飲食店開業サポート@山梨
返さなくて良い「補助金」を賢く利用しよう
飲食店開業時には一定の条件を満たせば補助金や助成金が受けられることがある。
実はあまり知られていないが、補助金と助成金の数は、800種類以上もある。
代表的な補助金と助成金は以下のとおり。
・50万円の補助を上限にした小規模事業者持続化補助金、小規模事業者が対象
・設備や器具の購入費に使える業務改善助成金、補助金の上限は200万円
・飲食業界の勤務経験が無い人を雇用する際のトライアル雇用奨励金
こうした補助金と助成金には、絞込み機能を使って検索できるWEBサイトもあるので、一度調べてみては。
開業資金は抑えよう
開業1年目で40%が廃業するという統計がある。このほとんどは開業費用を掛け過ぎているのが理由だ。1年で数千万円の借金を抱えたまま廃業する人がごろごろいる。よくある創業塾では資金調達の仕方を教えていたりする。しかし、ここに落とし穴がある。金融機関はお金を貸すのが仕事。融資が通るか否かが成功のポイント・・・なんて考えていたら今すぐ改めた方が良い。個人が開業する場合は特に、まず可能な限り初期費用を抑えることを考えよう。
Part.2「開業、何にいくらかかるの?」はこちら
本記事に掲載した情報は2018年3月8日現在のものです。
開業に当たる申請等をお考えの場合は必ず該当機関への問い合わせと最新の情報確認をお願いいたします。