はっこく;佐藤博之氏の挑戦 / 鮨を更なる偉大なレベルへ押し上げる
一流の寿司とは何か?答えは客の感性の中にある
「一流の寿司」とは何から作られるのか?
極上のネタはもちろん、ネタとシャリを合わせるバランス感覚。
さらに技術とタイミングも必要だ。
しかしそれより深い次元で「寿司」という体験を至福のものに変えてくれる
「プラスアルファ」の要素が存在する。
寿司職人の振る舞いと眼差し。店に入った時の期待感と店を去る時の満足感。
それらはつまるところ、一つの要素に集約される。
「特別感が感じられるか」は外せないポイントだ。
銀座に今年2月にオープンした「はっこく」は間違いなく、それを感じさせる店だ。
それらはつまるところ、一つの要素に集約される。
「特別感が感じられるか」は外せないポイントだ。
板長・佐藤が「鮨とかみ」を去った後
寿司職人の佐藤博之氏が2月上旬新たにオープンした同店は、開店まで長い時間を要した。
佐藤が5年前に世界にその名を轟かせ、国内外でミシュランの星を獲得した「鮨とかみ」。
彼が同店を去ってから10ヶ月が過ぎていた。
同店を去ってからしばらくの間、彼は遊んでいたのではない。
彼はこの間も、自身の手がける期間限定店やコラボ店によって注目を浴び、周囲は彼の次の動きへの期待に沸いた。
彼はこの間も、自身の手がける期間限定店やコラボ店によって注目を浴び、周囲は彼の次の動きへの期待に沸いた。
空間が醸すアートショーのような世界観
「はっこく」の話に戻ろう。まず、最初の印象は「まるでショーを見ているよう」というものだ。
デザイン事務所”Simplicity”が手がける内装は広々として落ち着いた印象。
3つの空間に分かれた店内は和紙に覆われた障子で仕切られ、ライトの反射光に照らされている。
薄暗い地下にあった全盛期の「鮨とかみ」とはかなり対照的だ。
現在はこのうち2つのスペースのみが使われている。
メインカウンターには佐藤が立ち、横にある小さなスペースは次板が立つ場所だ
(ランチの時にはこのスペースが使われる)。
いずれも6名分の席しかない。これが「はっこく」を東京のどのジャンルの店からも群を抜いて臨場感あふれる高級な店に仕立てている。
そしてここまで感じた全てがこんな疑問につながる。
「佐藤の鮨はこの一流の演出にふさわしいものなのか?」
そこには、何の疑いの余地もないだろう。
「佐藤の鮨はこの一流の演出にふさわしいものなのか?」
そこには、何の疑いの余地もないだろう。
職人・佐藤の変わらぬアイデンティティと芸術性
鮨とかみ時代に彼の鮨を食べた人であれば、佐藤が最高の食材を知り、
最高の味を引き出す技術を持っている事を知っているはず。
彼の才能はネタケースにを見ればすぐにわかる。
以前のように、佐藤は彼のトレードマークである赤酢のシャリを使った
鮪の突先巻で歓迎してくれる。
しかし、この後に出される鮨は以前と全く違うものだった。
まず佐藤は刺身やつまみは一切出さない。
代わりに握りと巻きという名の鮮烈な芸術作品を見せてくれる。
鮪の突先巻で歓迎してくれる。
しかし、この後に出される鮨は以前と全く違うものだった。
まず佐藤は刺身やつまみは一切出さない。
代わりに握りと巻きという名の鮮烈な芸術作品を見せてくれる。
握り・巻きのみで魅せる潔さ
ハイライトは鮪の身の切りつけ。トロと赤身のコントラストがあらわになる。
赤身は高級感溢れるトロの陰に身を潜めがちではあるが素晴らしいネタだ。
さらにイワシやコハダといった目立たないが味の良い青魚、甘みがありジューシーなアナゴがお腹を満たしてくれる。
唯一残念な点は、口直しとして出される野菜だ。
これだけしっかりしたコースの口直しなら、玉ねぎ、生のケール、パプリカなどよりも優しい味の食材の方がマッチしただろう。
「はっこく」は開店間もないが、
既に佐藤氏が単なる最上級の鮨の握り手ではないことは明確になった。
彼の目的は鮨そのものを次のレベルに向かわせる事だからだ。
これだけしっかりしたコースの口直しなら、玉ねぎ、生のケール、パプリカなどよりも優しい味の食材の方がマッチしただろう。
既に佐藤氏が単なる最上級の鮨の握り手ではないことは明確になった。
彼の目的は鮨そのものを次のレベルに向かわせる事だからだ。
はっこく
東京都中央区銀座6-7-6 ラペビル3階
03-6280-6555
ランチ 20,000円
ディナー 30,000円
英語メニュー、スタッフ英語可
出典:Japantimes ※元記事は英文、一部改定