<グルメ本>アンジャッシュ渡部の 大人のための 「いい店」 選び方の極意
芸能界きっての「食通」アテンド王として知られるアンジャッシュ渡部建さんのグルメ本が良書だと話題です。
お鮨屋さんにも足しげく通われているという渡部さん、どんなポイントでお店選びをしているのでしょうか。
今年1月に発売された「アンジャッシュ渡部の 大人のための 「いい店」 選び方の極意」のレビューを見てみましょう。
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■1.「いい店」かどうかわかる”キラーメニュー”とは?(一部ネタバレ自重)
<鮨屋>
鮨屋であれば、●●●とマグロです。●●●を食べれば、鮮度のいい魚を仕入れているかどうかがわかると同時に、塩と酢で締めるので、その具合に職人の技量や手間が現れるからです。
<天ぷら屋>
天ぷら屋であれば、●●とかき揚げです。
●●は江戸前天ぷらを代表するものであり、ほとんどの店が最初に出します。
ある天ぷら職人によると、これは「●●で腕を見てもらう」という意味があるそうです。
<焼肉屋>
焼肉屋なら●●●●刺しとハラミです。●●●●刺しはいかに新鮮なホルモンを手に入れているか、それをいかに手間ひまかけて仕込んでいるかが店の努力のバロメーターになります。
(詳細は本書を)
■2.食べログはレビュアーを追う
たとえば「食べログ」には点数やコメントなどが掲載されています。
総合点数を見て店選びをする人も多いと思いますが、僕は総合点数が高いという理由で店に行くことはまずありません。総合点はその店の実態をどの程度表しているかわかりにくいですし、たとえば2つの店を比べる場合、点数の差が本当に店の優劣を表しているかどうかわかりにくいからです。
だから、僕は特定のレビュアーの点数やコメントを見るようにしています。自分と嗜好が合う人を見つけて、その人のレビューを追うようにするのです。(中略)
自分の好みと似ているレビュアー、ジャンルごとのスペシャリストを見つけて、彼らが高い点数をつけていたり、気になるコメントがついている店に実際に行ってみる。これを繰り返していけば、自分にとってのいい店はかなり絞られます。つまり結局は、口コミもネットも、自分から情報を探しに行くとともに選別することが、「いい店」に出会う最大の近道だということです。
■3.相手が断りやすい誘い方で「YES」を勝ち取る
たとえば「君と行こうと思って映画のチケットを取ったから行こう」というのは、相手に責任を押しつけているようでちょっと重いですよね。「映画のチケットを2枚もらったから、行かない?」という誘い方のほうが、相手に責任がなく気軽に対応してもらえます。
同じように、たとえば「◯◯という店からいいハモが入って今日しか食べられないという連絡が来たので行こう」と言われたら、重くてちょっと困りますよね。もしそれを食べられなかったら自分のせいにされそう、と相手は思ってしまいます。「知り合いから美味しいハモが食べられる店の予約が回ってきたんだけど、時間あったら行かない?」といった感じの方が気軽に受け止めてもらえます。
つまり断りやすい誘いの方が、実はのりやすいということです。
「何曜日空いてる?」と言われたら、空いている日を出さなければいけなくなって、責任が重いけれど、「金曜日にあの店に行かない?」と言われたら断りやすい。断りやすい=行きやすい=のってくれる確率が意外に高くなるのです。
■4.気の利いた手土産で印象づける
さらに印象づけたいなら、東京・東銀座「よしや」のどら焼きがお薦めです。軽やかでしっとりした手焼きの皮と餡が絶妙な逸品ですが、ただ美味しいだけでなく、オリジナルの焼印を押してもらえます。たとえば「ありがとうございます」や「渡部」という焼印をつくれば、これを押してもらったどら焼きを手土産として渡せます。相手が家に帰って箱を開けると、渡部からの感謝のメッセージが入ったどら焼きがずらりと並んでいる。これは効きます。
あらかじめ自分の名前と「おめでとう」「お疲れ様でした」など、よく使えそうな言葉の焼印をつくっておけば、いろいろな相手に使えますし、急に用意したとしても、相手は「手間ひまをかけてオリジナルの手土産を用意してくれたんだ」と印象に残ります。
■5.リストに入れるべきテッパンのデート店
いぐちは中目黒のなんてことない雑居ビルに入っているのですが、看板がなく、業務用かと思うような鉄の扉をおそるおそる開けた瞬間に漆喰の空間が現れます。焼き鳥屋なのに店内は真っ暗。これだけで相手の気分は絶対アガります。
店内にはキリッとした雰囲気のカウンターもあり、こちらで並んで座るのもいいのですが、2人の距離をもっと縮めたいなら2人部屋個室へ。初デートだとちょっと引かれるかもしれませんが、2回目なら大丈夫。ほどよく狭くて暗めの非日常空間は、2人の会話を後押ししてくれます。
料理も女性が喜んでくれるスタイルです。おまかせコースで焼き鳥やピンチョスなどが少しずつ23皿。1口サイズなので女性が食べやすく、多彩な味わいが楽しめます。これで4800円はお値打ちです。リーズナブルなテッパンデート店です。
【感想】
◆非常に活用度の高い1冊でした。
特に本書が向いているのが、グルメというか普段から食べ歩きされる方や、仕事で接待する必要がある方。
それと、これが一番効くと思うのですが、デートしたり意中の女性を落としたい方なら、必読の内容だと思います。
まずは第1章にて、渡部さん流の「いい店」の定義から。
渡部さんにとっては「味」「値段」「サービス」「予約の取りやすさ」「キャッチ度」の5つ指標をレーダーチャートにして、バランスよくキレイな五角形になっているお店が望ましいのだそうです。
詳細は本書でご確認いただくとして、最後の「キャッチ度」というのは、「ワンフレーズで魅力を表現できるかどうか」。
たとえばこのお店は、「飛行機代をかけなくても、本場モン・サン・ミッシェルのふわふわオムレツを食べられる店」なのだそう。
ラ・メール・プラール (la mere poulard) – 有楽町/ビストロ [食べログ]
……確かに画像を見ると、オムレツふわふわですなw
◆続く第2章では、「いい店」の探し方を。
渡部さんの場合、基本的には、信用しているグルメの知り合いからの情報や、料理人の口コミなのだそうです。
と言っても、私たちにはハードルが高いので、ネットの使い方を上記ポイントの2番目に挙げました。
私も結構、食べログの情報を確認することは多いのですが、レビュアー単位で追ったことはなかっただけに、なるほど納得。
そして、もう1つネットの使い方として挙げられていたのが、インスタグラムのハッシュタグから、マークすべきユーザーを探す方法です。
「いい店」のお店の名前のハッシュタグで検索し、その中から名店や知られざる店を食べまわっている「すごい人」を見つけたら、その人の投稿をたどって、自分の知らない超穴場店を発掘するのだとか。
渡部さんにとって「いい店」を探すためなら、このくらいの手間は何ともないようです。
◆なお、次の第3章は「店に気に入られる方法」というハードルの高いものなので、今回はまるっと割愛し(スイマセン)、第4章の用途別のお店の選び方や誘い方を。
上記ポイントの3番目の「デートでの誘い方」は、モテテクとしても押さえておきたいところです。
さらには接待であれば、気の利いた手土産があれば、ポイントが高くなるでしょう。
最も定番なのが、食事をしたお店のもの(フレンチなら焼き菓子等)なのですが、破壊力抜群なのが、上記ポイントの4番目の焼印付きのどら焼きです。
木挽町よしや
焼印製作に16,000~20,000円かかるそうですが、仕事で半永久的に使うなら安いものかと。
一番活用できそうなのが、第6章の「渡部流 シチュエーション別店紹介」です。
上記ポイントの5番目の「いぐち」は、正攻法のデートに使えますが、なるほど、と思ったのが、変化球系のお店。
「女性だけだと入店できないお店」「お店のお母さんにめちゃくちゃ怒られるお好み焼き屋」なんてのは、普通の食事に飽きた人にも興味を持ってもらえそうです(詳細は本書にて)。
もちろん、接待にも使えるお店や、地方の押さえておくべき名店も登場しますから、この第6章は永久保存版で。
画像なしのテキストだけで、これだけ「行ってみたい」と思わせてしまうのは、スゴイと思います。
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