NYで開店後3ヶ月でミシュラン獲得!天才鮨職人宇井野詩音とは -SUSHI TIMES ORIGINALS-
ミシュラン三ツ星、予約の取れないレストランとして知られる「鮨さいとう」。そこで握りを任された数少ない職人のうちの一人が、現在NYの「sushi AMANE」大将の宇井野詩音(ういのしおん)さんです。若干30歳(※)、2017年7月のオープンからわずか3 ヶ月でミシュラン一ツ星、競争の厳しいNYで2年連続星を獲得しています。この若き天才鮨シェフの才能はどこから生まれたのでしょうか。
※2021年5月現在
画像出典:U-NOTE
2017年7月にニューヨーク・マンハッタンにオープンした鮨屋「sushi AMANE」。同店はオープンからたった3ヶ月で「ミシュランガイド ニューヨーク」で1つ星を獲得。同ガイド史上最短の快挙でした。そんな「sushi AMANE」で大将を務めるのは、30歳の若き鮨職人・宇井野詩音(ういの しおん)さん。和食ブームが続き、多くの日本食店が軒を連ねるニューヨークで、たった3ヶ月でミシュラン1つ星を獲得した舞台裏とは。
幼少期に海の魅力に目覚める
宇井野さんは熊本県天草市の出身。魚を獲ったり海に潜ったりしている中で、魚の魅力にはまっていきました。地元の進学校に通っていましたが、この先の進路を考えた時に大学進学ではなう自分の得意分野である料理、特に魚に関することを選ぼうと思ったそうです。テレビなどで鮨屋の世界は厳しく、10年残る人は1人か2人ということも聞いていたという宇井野さん。「だからこそ、そこで頑張ってみよう」と固く決意します。
「鮨さいとう 」の門を叩く
高校卒業後、鮨職人を志した宇井野さんは上京し、8年連続ミシュラン3つ星を獲得し続けている名店「鮨 さいとう」の門をたたきます。天草に住んでいたため東京の鮨屋の事情は全くわからず、ミシュラン ガイドや食べログを参考に「鮨 さいとう」にたどり着いたとか。上京して面接に行った時に、「鮨 さいとう」の大将・齋藤さんが鮨を握ってご馳走してくれました。この時緊張して覚えていないが、とにかく齋藤さんの鮨に感動し、迷わず弟子入り。約6年の下積み後、ついにお客さんの前で鮨を握ります。
スカウトを受けニューヨークへ
「鮨 さいとう」で修行を積んでいたある日、ニューヨーク出店の話が舞い込んできます。当時26歳でした。ニューヨーク「sushi AMANE」で大将となることを決意し、オープン準備を始めます。幼い頃インドとタイに1年間住んだ経験から、海外の文化や生活に興味があったそうです。
そして迎えたオープン1日目。空調や音楽など、店内環境においてもお客さんを迎え入れてお金をいただける状態ではなかったと語ります。しかし、「鮨 さいとう」を知っている人や口コミを聞きつけた人で、「sushi AMANE」の8席は埋まりたちまち人気店となりました。
ニューヨークでの苦労
ニューヨークのお客はまず好みが日本人とは違います。仕入れも、交通トラブルで配達が遅れることも日常茶飯事。また、日本の魚を仕入れるときは直接魚を見て買えないので、少し多めに発注して、その中からお客様にお出しできるものを選ぶというやり方でなければうまくいきません。
言葉の壁はもちろんあったそうです。東京とは違うNYという舞台では「宗教的な制限などで貝や海老、タコなどを食べない」などがあるため、しっかりとコミュニケーションを取るように心がけているという。勉強熱心な宇井野さんの姿勢は言葉の壁をも超えて信頼を生んでいるのです。
今後の展望
これからの時代は、地産地消。その土地でしか食べられない食材が食べられることが価値になる、とサステイナブルなボストン産のマグロを提供する。寿司を食べることにより感じる自然への感謝を、次世代に繋いで行きたいと考えているそうです。