江戸前のネタは今が旬!鮨ネタランキング10月編 -SUSHI TIMES ORIGINALS-
秋の気配深まる10月。今月も多くの寿司ダネが旬を迎えます。産卵期を迎え脂が乗ってくる魚は今しか味わえない、貴重な味覚。江戸前の旬を感じにお鮨屋さんへ急げー!
メバチマグロ
あっさりで、旨みがいっぱい。秋のメバチマグロを侮るなかれ!
マグロにもホンマグロ、インドマグロ、メバチ、キハダと様々な種類がありますが、ホンマグロが頂点といったヒエラルキーはナンセンス! 専門家は旬のマグロが一番美味しいと言います。 10~11月に旬を迎えるメバチマグロには脂が乗り、かすかな酸味に旨味と甘味を兼ね備えた抜群のおいしさが味わえます。その味は本マグロにも劣らないと言われているほど。 漁獲量、輸入量はクロマグロの5倍から7倍で、実は「マグロの刺身」としてもっとも一般的。本マグロが体長3mにもなるのに対し、メバチマグロは1.5m~2mと小ぶり。本マグロよりもずんぐりとした丸っこい体型をしています。 味は本マグロに比べてアッサリめ。脂っぽい魚が苦手な人には、全体的に脂の乗った本マグロよりもメバチマグロが好まれることも。 赤身の鮮やかさも美しく、クロマグロよりも濃いピンク色をしています。 アッサリとしていながら、マグロの旨味は十分に兼ね備えているので、マグロの味を楽しみたい人の中ではクロマグロよりもメバチマグロのほうが好む人も。
ツウは「メバチのテンパ」が好き
「てんぱ(テンパネ)」はマグロの真ん中を走る赤み、そのいちばん前の端っこで、赤身の味のよさを堪能できる部位です。 冊取りが難しく、半端な部分ですが味が良く、これを握りにします。 メバチマグロの適度な酸味とうま味がすし飯となじみ、 まさにマグロのうま味ここにあり、と言う通もいるほど。
画像出典:大間のマグロ
メバチマグロと本マグロ、どう違う?
メバチマグロの刺身 口に入れた途端、甘みが広がりながらもさっぱりとした深みのある味わい。赤身特有の生臭さは感じられず、マグロの後味が残りません。 本マグロの刺身 ピンクがかった赤身と脂のサシがきれいなホンマグロ。 舌の上に置いたとたん、コクのある甘みが口の中で溶けて広がる感覚。それでいて、濃厚なのにくどさがありません。 メバチマグロの握り 赤身の瑞々しさがシャリによって際立ちます。スッキリとした味わいながらも、身にうまみが詰まっています。何貫でも食べられそうな味です。 本マグロの握り ねっとりとした脂がシャリと混ざり合って濃厚な味わいです。
参考:
ハモ
ハモの旬は夏だけじゃなかった
ハモの旬は夏だと思っていませんか? 「鱧は梅雨の水を飲んで育つ」と言われるように、6~7月の産卵前の時期に一番身がやわらかくて美味しいというのが一般的に言われていることです。 ところが、鱧にはもう一度美味しい時期があって、それが秋、10~11月くらいにかけての頃です。この時期の鱧は産卵を終えて食欲が増し、とても脂ののった弾力性のあるシコシコした身になります。あっさりした夏のハモよりも脂の乗った秋のハモの方がずっと美味しいと言う人もいます。 10~11月の鱧を「松茸ハモ」と言いますが、これは松茸と鱧を一緒に料理することがあることから名づけられています。松茸の強い香りに対抗できる歯ごたえのあるしっかりした秋の鱧は絶品と言えるでしょう。
何年も修行してやっと捌けるようになる職人魂がかかった魚
鱧はとても小骨の多い魚なので丁寧に骨切りをしないと食べられません。一寸(約3.3センチ)の大きさの身に包丁を24~25回ぐらい入れるといいますから、相当な技術を必要とします。何年も修行しないと一人前に捌くことができないそうですから、まさにこれは職人芸。 江戸前寿司職人にとってハモは未知のネタ。京都の料理人ならではの技と言えます。
【ハモのあぶり寿司】 拙く骨切りしたハモを2貫ほどの大きさにきって金ぐしを刺して直火であぶり、そのまま握ります。 ふわっとした食感を生み出している脂と、身に感じる甘味は旨味。焼いた香ばしさも最高です。 ツメを塗ったものの方が「握り」としては完成度が高いと言われています。
出典:Yahoo!
ウナギ
実は秋から冬にかけてが旬!
夏の土用丑のイメージが強いウナギですが、本当の旬は秋から冬にかけてということ、ご存じでしたか?
天然ウナギの旬
天然うなぎは、5月頃から獲れ始めて、冬眠に入る12月には漁が終了します。 川や湖で数年かけて成長し、産卵のために川を下り出す10月頃からは冬眠に備えて栄養を蓄えるので脂が乗り、間違いなく美味しいと言われています。 この時期に美味しいのは成長しきって栄養を蓄えた「下りうなぎ」(=「銀うなぎ」)です。 養殖物と比べて運動量が多いので、身に適度な弾力があり美味しいと言われています。
養殖ウナギの旬
うなぎの稚魚の漁は毎年11月ぐらいに始まり、そこから育て始めてちょうど秋口の9月ぐらいになると大きく育って池上げされます。 ここで美味しいのが養殖期間が1年未満の「新仔うなぎ」。10月はまだ新仔うなぎも美味しい時期! 新仔うなぎは大きいけれどまだ若いので、身も皮も柔らかく、脂のノリも程よい美味しさです。 小骨が少ないので食べやすく、臭みが少ないのも特徴です。 また養殖ウナギは水温が高く、活発に動き、エサをよく食べる夏も、もう一つの旬だと言われています。
もともと江戸前鮨にはウナギの握りはなく、現在でもウナギの握りは関東より関西や九州でよく見られます。 関西にもともとあった上方料理屋が寿司屋に変わり、厨房にあった焼き場をそのまま使えたため、ウナギ寿司の文化が生まれたとか。 また関西には海がなく、川魚が主流だったことも関係しているとか。 基本的には蒲焼を握りますが、白焼きを握りにしてわさびにしょうゆ、煮きりに山椒でいただくのも通です。
シャコ
江戸前を代表する高級ネタも、現在は漁獲量激減・・
シャコはエビと外見が似ていますが、鋏を持ち十脚目に分類されるエビやカニとは違い、口脚目(シャコ目)に分類される全く別の種族です。この口脚目(シャコ目)にはシャコ上科をはじめフトユビシャコ上科などいくつかの上科に分類される種がいますが、小さかったり漁獲される数がほとんどないため、食用として利用されていません。シャコは江戸前寿司のネタとして馴染み深い他、かつては各地の産地では家庭でも大量にゆで食べられていたが近年は漁獲量も激減し高級品となっている。北陸や青森県では「ガサエビ」、熊本県では「シャク」、福岡県の一部では「シャッパ」などの地方名があります。
産卵期を控えた春から初夏はカツブシと呼ばれる卵巣が発達したメスが珍重されオスより高値で取引されています。
シャコの旬は年2回
春から初夏にかけて
一度目の旬は、3~5月頃。シャコが産卵期を控え卵巣が発達する時期です。この卵巣は「カツブシ」と呼ばれ非常に美味。春から初夏は、子持ちのコクがあるシャコを食べられる旬の時期と覚えておきましょう。
秋から初冬にかけて
二度目の旬は、10~12月頃。産卵後脱皮を繰り返し、シャコ自体が栄養を蓄え太る時期です。そのため身が詰まっており美味しく食べごたえもあるのです。
シャコの種類
日本で食用とされているのは2種類
日本では、シャコとアナジャコが一般的に食べられています。見ためも特徴もよく似ていますが、アナジャコはエビの仲間の十脚目に分類され、砂に潜るという習性があり、この点がシャコとは異なります。また、寿司ネタとして使われるのはアナジャコではなくシャコのほうです。
カラフルなシャコもいる
日本で食べられているシャコは、茶色っぽい殻に包まれいかにも甲殻類という見ためです。しかし、シャコには青や赤、グリーンなどの色鮮やかな美しいものもいます。モンハナシャコという種類で、観賞用としても人気です。また、黄色と黒の縞模様が特徴的なトラフシャコも有名です。
出典:
ツブ貝
北海道では50種以上!頂点に立つのは「真つぶ(エゾボラ)」
つぶ貝は主に産卵を終えた7月下旬から4月頃にかけての時期に多く収穫されているようです。北国に数ある「つぶ」と呼ばれる頂点と言われるのがエゾボラ、市場での呼び名は「真つぶ」。ツブ貝と呼ばれる貝は北海道では50種類以上が生息しています。真つぶ貝以外をエゾボラモドキという。つぶ貝と言うのは種類が豊富で獲れる地域でも色や形が違い呼び名も多くて明らかに分かるものでないと判別が難しいそうです。
関東の鮨屋では敬遠される場合も・・
「つぶ」の基本的な食べ方は生食。貝らしい甘味を伴ううまさと、生らしい味を楽しむものです。そこに「つぶ」ならではの食感のよさが加わります。北海道だけでとれるので、当地ではすしダネとしても普通、どこの店に行ってもネタケースに並びます。(ただしすしダネとして使うかどうかは別)
関東ではつぶ貝の食感のよさは、すし飯との馴染みの悪さとイコールであると嫌う職人がいるようです。一方、独特の食感を活かしてうまく酢飯を合わせていくという考えの職人さんもおり、お鮨の世界では職人さんの考え方次第で使われているようです。
毒を有する部位も。調理には要注意
エゾボラをはじめエゾボラ属の貝には唾液腺の部分に人の神経を麻痺させる「テトラミン」という有毒成分が含まれている。貝によって個体差があり、また、食べる人の個人差もあるが、数個分を食べると視覚異常、頭痛やふらつきなど酒酔いのような症状を起こすので、調理の時点でこの部分を除去しておく必要がある。
出典
甘えび
一般に「甘えび」と呼ばれているのは正式な和名では「ホッコクアカエビ」というエビを指します。この「ホッコクアカエビ」は通称ボタン海老と呼ばれている「トヤマエビ」や本来の「ボタンエビ」などと同じタラバエビ科タラバエビ属の一種で、北海道から北陸にかけて沢山獲れ、主に刺身で食べる海老として人気があります。
甘えびの旬
甘えびは1年中食べることが出来ますが、地域によって休漁期などがあり最盛期などもさまざまです。生態のところでも少し触れましたが気温の低いところで生活をしているので寒い時期が美味しいと言われています。
甘えびの卵は食べても大丈夫?
出典
まとめ
夏のイメージが強い鰻やハモの旬が実は秋だったり、クロマグロよりも流通量が多いメバチマグロが旬を迎えたり・・10月の旬の鮨タネは意外な発見が多かったですね!
産卵期に入る魚介類にはまだまだこれから旬を迎えるものが多くあります。一番美味しい時期を見逃さずに、味わえたら最高ですね!ぜひ、過去の記事↓もご覧ください。