江戸前のネタは今が旬!鮨ネタランキング4月編 -SUSHI TIMES ORIGINALS-
いよいよ春本番!暖かい海流を待っていた魚たちが活発に動き出します。
メバル
日本の代表的な近海魚
メバルは「眼張る」とも書き、その名の通り大きな目が特徴の海水魚です。日本中でとれる代表的な近海魚で、「目春」や「春告魚」とも呼ばれる高級魚です。
産地によって獲れる魚種が違い、寒い地方の方が獲れる種類も多くなっています。
種類によって旬が変わる
メバルが一番美味しいのは、卵巣が孵化に備えて栄養を蓄えている時期。
メバルは受精後、体内で孵化し仔魚の状態まで育て出産する「卵胎生」の魚で、卵巣の成熟期間が旬となります。
一般的にスーパーでよく見かけるメバルは、多くがクロメバル・アカメバル・シロメバルのどれか。
これらのメバルは10~1月に漁獲量が多く、値段が安定するため近年ではこの時期が旬の時期とされることも。
春に旬を迎えるのはウスメバルやエゾメバルで、産地は青森県、秋田県、石川県、新潟県など東北地方や北陸地方です。
特に、漁獲量が日本一の青森県産のウスメバルは体色が美しく程よく脂ものっており絶品です。
エゾメバルはその名の通り大半が北海道で水揚げされます。
意外に珍しいメバルの握り
メバルは煮つけにすることが多いですが、握りにしても美味しい魚。 漁獲量が少なく値段が高い上に、捌くのにも手間がかかる高級な鮨ネタです。 ほどよい硬さで身に甘みがあり、当然すし飯との馴染みも良いです。 身の表面にはうっすらと脂の層が見えますが、口に入れるとあまり脂は感じられず、白身魚特有の淡い旨味とシコっと軽い食感があります。 やや遅れて感じる脂は微かで、非常に軽い味わいの握りです。 その素直な白身の味わいが、個性に欠けると思われがちですが、癖のない綺麗な白身見事。 酢醤油、カボスやスダチでいただくのもオススメの一貫です。
鰹
春のカツオはあっさり&プリプリ
鰹の旬は年に二回あり、春に旬を迎える鰹を「初鰹・上り鰹」と呼び、秋に旬を迎える鰹を「戻り鰹」と呼びます。
春は九州南部から北上してくるカツオに合わせて漁がはじまり、ピークは4月から6月頃。
この時期のカツオはえさを求めて北上しているので、脂が少なめであっさりとしています。身の色は鮮やかな赤色で、身が引き締まっているため弾力があり、ぷりっとした食感です。
その味わいから、「土佐造り」と呼ばれるたたきで食べるのが美味しいと言われています。
一方秋に獲れる「戻りガツオ」は、えさをたっぷり食べていることと低い海水温の影響から、脂がのっていて濃厚な味わいです。
マグロのトロのような味わいを楽しめることから「トロガツオ」や「脂カツオ」とも呼ばれています。
身の色は初ガツオとは異なる深みのある赤色で、その味わいから刺身に向いています。
カツオは現代人の強い味方!?
カツオは多くの栄養が含まれている魚としても知られています。
・パントテン酸
血合いに多く含まれるパントテ酸は、ストレスを感じると「副腎皮質ホルモン」という抗ストレス作用のあるホルモンを作り出すため、ストレス解消効果が期待できます。
・ビタミンB、鉄分
カツオには、魚類の中でもトップクラスのビタミンBと鉄分が含まれています。
ビタミンB12には赤血球の生成を助ける働きがあるため、神経機能の正常化が期待できます。
ビタミンBと鉄分は、貧血予防として効果を発揮。女性にもオススメの食材です。
・タウリン、ナイアシン
カツオには肝臓の機能を高め、疲労回復を促すタウリンも豊富。
ナイアシンは二日酔いの予防、皮膚・粘膜を正常に保つ働きなどが期待できます。
https://delishkitchen.tv/articles/1118 |
http://www.terusengyo.com/ct_katuo_ziki.html |
https://macaro-ni.jp/48677 |
https://erecipe.woman.excite.co.jp/article/E1600583726400/ |
江戸前の伝統・カツオの握り
鰹は江戸の人々にとって特別な食べ物だったようです。 当時一尾の価格は下級武士の年俸に相当し、庶民は口にすることはない程の高級魚だったとか。 縞模様も粋な鰹は役者や料理屋が多く買い求め、上方の鯛に匹敵する江戸っ子好みの魚だといえます。 初物食いは75日長生きするという信仰もあり、初物にかける江戸の町人の見栄と男気は凄まじかったようです。 江戸っ子は現在のように鰹を「たたき」にして、大葉や生姜などの薬味を添えて食べることをせず、専ら刺身に辛子という食べ方を好んだそうです。
カツオの握りは一流店の証?
鰹は個体差が激しく、ベテランの職人でも見た目でどの魚がいいのか判断するのは難しいと断言するほど目利きが難しい魚と言われています。 老舗の鮨屋や一流店ではとにかく良いカツオを手に入れるために全部のカツオを購入し、一匹一匹腹を割るんだとか。 鰹は足も早いので、いい状態のものを毎日こまめに買うことが必要になるそう。 良いカツオを食べられる店は商売も軌道に乗っているということ。良いカツオの出る店は良い鮨屋ということができます。
出典
http://www.shizuoka-sushi.com/sp/sushinotisiki7.html |
https://dancyu.jp/read/2019_00001692.html |
https://dancyu.jp/read/2019_00001687.html |
https://sushi.zukan-bouz.com/detail.php?id=259 |
白エビ
別名「富山湾の宝石」
白エビは日本沿岸の深海にだけ生息する固有種で、駿河湾の桜エビよりもひとまわり大きいエビです。神奈川から三重にかけての太平洋沿岸でも獲れますが、大量に獲れる日本海側の富山湾だけが唯一の漁場となっています。
透明な姿から「富山湾の宝石」といわれる白エビは、富山の代表的な名産のひとつ。
漁獲されているのは富山湾だけで、体長約7cmほどの小エビです。 絶妙な歯応えと奥深い甘味が人気の白えびの刺身は、旬の4~6月にしか味わえません。
足が早く、希少な食材
白エビが商業的に漁獲されているのは富山湾くらいで、他の生息地では棲息密度が低くまとまった漁獲はされていないようです。白エビは鮮度落ちが早いため、かつては富山湾周辺の産地でしか生鮮品は食べられないものでしたが、近年は流通の発達などにより遠く離れた市場でも入手できるようになっています
白エビは年間の漁獲量は多くなく貴重な味とされています。 生の白えびは、噛んだ瞬間、ぷりぷりとした食感が楽しく品がありながらも、こくのある強い甘味がやみつきになる味わいです。 まろやかな酸味が美味しいつきぢ神楽寿司の赤酢を使った赤しゃりとの相性も抜群です。
刺身に使われる白エビの数は・・・
白エビの刺身は手間がかかる分、高価なものになります。白エビは傷むのが早いため、刺身として味わえるのはとても貴重なことです。新鮮なまま味わえる刺身は一番美味しく白エビが味わえる方法と言えます。上の写真のシロエビの刺身は、1人前でなんと約50~60匹も!ねっとりとした食感と独特の甘みが口の中いっぱいに広がります。テーブルには真昆布刺身醤油のこいくちとあまくちが用意され、どちらを選ぶかはお好みで。シロエビの味わいを堪能するなら、醤油は少なめ、あるいは使わなくてもいいくらいです。
トリ貝
3月初旬に韓国産が出始め、次第に国産品が流通し始めます。国産の旬は4月〜5月。丹後で特別に生産しているようなブランドのトリ貝は5月から7月です。
名前の由来
【トリ貝】という名前の由来は2つあります。
一つ目は、貝殻から伸びる黒い足が鳥のくちばしに見えるからという説があります。
もう一つは、食べた時の食感が鶏肉に似ているからだとする説があります。
ブランド貝【丹後とり貝】
トリ貝の中でも特に有名なのが、【丹後とり貝】です。これは、京都府立海洋センターが、稚貝を人工孵化させ、コンテナに稚貝を入れて海中に吊り下げる方法を開発し育てているものです。
この方法で育てられたトリガイは天敵のタコやヒトデから守られて、天然物より大きく育ちます。この手法で育てられるものを【育成トリガイ】といい【丹後とり貝】のブランド名として出回っています。しかし、大きさや味に非常に優れているが、まだ数量的に少ない事もあって非常に高価な食材なので、今でもまだ高級料理店でしか扱えないほどの高級品と言えます。
出典
トリ貝の仕込み
とり貝は通常、剥いて湯引きしたものが、半透明のプラスチック製の箱に並んだ状態で売られている。これを「タテ」と呼びます。生の状態で入手した場合は、店でその剥き身を湯通します。その加減がとり貝の口に入れた時の食感を決定付けるからです。湯通しといっても一瞬で、仕上がりは半生の状態。少し熱を加えることで、貝の甘味はグンと増すのです。
「オハグロ」を残して仕込む
トリ貝の特徴である墨色のような黒い部分はハクと呼ばれます。別名「オハグロ」だそうです。まな板でトリ貝を切るとあっという間に白くなってしまいます。「ハク」は少々の摩擦で取れてしまうので、落とさずに仕込むためには、酢を使って色落ちを防ぐ、ラップやガラス板の上で摩擦を少なくした状態で捌くなど、他の貝と少し違った仕込み方をする必要があります。
出典
うちわエビ
味は伊勢海老より上?レアな高級エビ
高級エビとして、伊勢エビに引けをとらないウチワエビ。産地である西日本では家庭でもよく食べられています。しかし、全国的にはその美味しさを知らない人はまだ多く、知名度もあまり高くありません。漁獲時期や漁獲権は制限されており、水揚げ量が多くないことがその理由です。その形状から分かる通り、身はあまり多くはないですが、濃厚な味わいとプリっとした食感は高級エビで知られる伊勢エビにも負けないほどと言われています。他のエビよりも分厚い殻を持っていますが、伊勢エビに比べると比較的柔らかいことも特徴です。
ウチワエビの旬
ウチワエビの産卵期は秋とされ、身が充実し美味しいのは冬から初夏あたりと思ったりするのだが、産地によっては漁期が限定され、長崎県五島では10月1日~11月末までが漁期と決められているので、この時期が旬となります。
食感・甘味ともに最上級
ウチワエビの身は固すぎず柔らかすぎず、とても食感が良いのです。また甘味も強く、刺身にするととても美味しい海老です。
生きているうちに調理するのが基本
ウチワエビは新鮮なままいただくのが基本です。手に入ったら生きているうちに調理を始めます。すぐに調理できないときは後述する方法で保存します。すぐに捌けない場合は塩茹でして身を取り出し、縦に半分に切って握ります。1尾で2貫ほどしか握れない贅沢なネタです。
サクラマス
桜の名をもつ高級魚
サクラマスは、サケ科の魚。姿は一般的に食べられているシロザケに似ていますが、獲れる量は桁違いに少なく、その味の良さから高値で取引されています。その優美な名の由来は、「桜が咲く時期に河川を遡上し始めること」と「身が桜のように鮮やかな色だから」との、2つの説が有力。東日本沿岸全域に分布しますが、道南地方のとくに日本海側はサクラマスの代表的な産地で、通称「板マス」と呼ばれる3キロを超えて体高が大きく、身幅もあるサクラマスも数多く水揚げされます。
脂のまわりが非常に良く、上品な味わい
身にはしっかりと脂がまわり、非常にやわらか。それでいて脂のしつこさがなく、香りと旨みを楽しめる上品な味わいは、食べ慣れたサケとは比較にならないほどの良さがあります。和食での焼き魚などはもとより、フランス料理や中国料理などの食材にも適し、北海道では「ルイベ」と呼ばれる凍った状態の刺身でも食べられます。道南地方のものは富山県にも出荷されており、有名な「鱒寿司」の材料として使われています。
サクラマスの寿司として有名なのは握りよりも押し寿司でしょう。サクラマスの漁獲量が多い富山ではサクラマスの押し寿司が名産となっています。
桜エビ
「海の宝石」と呼ばれる美しいエビ
桜エビは、深海の中層を群れで遊泳するサクラエビ科に属する小さなエビです。体は透明ですが、甲殻に赤い色素をもっているため、桜色に見えます。これが桜エビという名前の由来ですが、美しい姿は海の宝石とも呼ばれます。
旬は2回
国内の桜エビ水揚げ量のほぼ100%が静岡県の駿河湾。漁の解禁は3月下旬~6月上旬までの春漁と、10月下旬~12月下旬の秋漁の計2回。桜エビの繁殖期にあたる6月11日~9月30日までは資源保護のため禁漁。冬期はエビが深海にいるため休漁です。年間、わずか40日ほどしか漁を行うことはできません。漁業権が認められている由比港と大井川港は、漁の解禁と同時に活気であふれます。水揚げされた桜エビは、加工業者に買い取られ、天日干しや釜揚げ、生エビの急速冷凍品に加工されて全国に出荷されます。「駿河湾桜えび」と「由井桜えび」いう商標が登録され、地域ブランドとして経済を支えるまでに成長しています。
とれたてのサクラエビをさっと水洗いして、暖かいご飯にのせてわさびじょうゆで、もしくは寿司にも仕立てて食べられています。それが最近は関東などにも鮮度のいいものが来るようになり、産地同様生で豪快に食べられるようになってきました。生のサクラエビは甘く、シャリっとした食感とともに濃厚なエビの旨味が口に広がります。
文・編集 SUSHITIMES編集部
本記事は他サイトの文献を参考にし掲載させていただいております。