これだけある!和の料理人が使う包丁あれこれ
家庭で料理に使う包丁と言えば、大体「三徳包丁」等で1種類か2種類位だと思いますが、和食の料理人は素材に合わせて包丁を使い分けます。
これは世界中に見ても異例な事で、例えばフランス料理やイタリア料理のコックならメインは「牛刀」と「ペティナイフ」のせいぜい2本。
中国料理の料理人は殆ど「中華包丁」1本です。
(ちなみに日本料理の職人を「板前」と呼び、良く勘違いされるのはカウンター形式で鮨を握る職人。お寿司やさんは職業で言えば「板さん」では無く「寿司職人」になります。)
【包丁の種類と使い分け】
それでは包丁の種類と使い分けをご説明します。
「牛刀」
知名度☆☆☆☆
利便性☆☆☆☆☆
いわゆる「洋包丁」ですが、使い勝手が良く、肉、魚、野菜、フルーツ等、これ1本でもある程度まかなえる優れもの。片刃と両刃、更に鋼とステンレス製があります。 切れ味は鋼に劣りますが、ステンレス製はサビ付きにくく、メンテナンスしやすいのでオススメです。
「薄刃包丁」
知名度☆☆
利便性☆☆☆☆☆
主に「剥きもの」が専門になる片刃包丁。 大根の桂剥きや、野菜の飾り切り(梅花人参や水玉きゅうり等)にも使います。 利便性にも優れ、「牛刀」よりも細かい仕事が出来るのが特徴。
「出刃包丁」
知名度☆☆☆
利便性☆☆☆☆
魚を3枚に卸したり、硬い骨を割るのに適した片刃包丁。 特に和食では魚が主体になる事が多い為に必需品。
更に分類すると・・・
➀「小出刃」鯵(アジ)や鮎(アユ)など小型の魚を捌くために特化したもの
②「中出刃」一般的な物。これ1本で殆どの魚は捌けます。
③「大出刃」大型の魚に使用。 特に鰤(ぶり)やとうへい(巨大な黒あなご)等の、大型で骨の硬い魚はコレでないと刃が通りません。
「柳刃包丁」
知名度☆☆☆☆
利便性☆☆☆☆
和食の華「お造り」を引く(切る)為に必須。 値段はピンキリですが切れ味が鋭いものは1本10万円以上はします。関東式と関西式では切っ先が異なりますが、使い方は一緒です。
「肉切り包丁」
知名度☆☆
利便性☆☆☆☆
刃が波打ったノコギリ状の外見。獣肉を扱う時に特に効果を発揮します。猪肉(ししにく)や鹿肉(しかにく)等を使用した「ジビエ料理」には欠かせません。
※ここからは少しレア度が上がります。
「寿司切り包丁」
知名度☆
利便性☆☆☆
レア度☆☆☆
役に立たない度☆☆☆
サバ寿司等の押し寿司や巻き寿司を切る為だけに特化したもの。切っ先から根本にかけて丸みのある刃が特徴で、押し切るように使います。 あれば便利ですが牛刀があれば特には使用しません。
「河豚(ふぐ)引き包丁」
知名度☆☆
利便性☆☆
レア度☆☆
役に立たない度☆☆☆☆
「フグ刺し」を作る為だけに使用。 冬のシーズン中にしか使わない上に「柳刃包丁」と殆ど変わらないので「使えない奴」的な存在。 柳刃包丁よりも刃が薄く作られているのでフグの身を薄く引く事は出来ます。
「鱧(はも)切り包丁」
知名度☆☆
利便性☆☆☆
レア度☆☆☆
役に立たない度☆☆☆
鱧(ハモ)の「骨切り」だけに特化した物。 大きく無骨だが、包丁の重みを利用してハモの細かい骨だけを切る。これもシーズン中(夏から初秋にかけて)以外に使用する場面が無く、さらに場所を取られるために置き場所に困る。鋼だからメンテも大変。
「蛸(たこ)引き包丁」
知名度☆
利便性☆
レア度☆☆☆☆☆
役に立たない度☆☆☆☆☆
関東型の 柳刃包丁の別名。柳刃包丁に似ているが幅が狭く、薄くしなるような刃が特徴。
これらの他にも「うなぎ裂き」や「そば切り」等ありますが、専門店意外では殆ど使用しません。
料理にこれだけの膨大な数を扱うのは世界中でも日本だけ。
日本料理とは、繊細な味付けと包丁の技術が合わさった、世界でも類を見ない独特の文化なんです。
出典:makimikan