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知っておきたい!豊洲市場の達人が教える「旨い魚」の見極め方(丸魚、サク、切り身)

味のいい魚を入手することは、料理の出来を左右する重要な条件だ。鮮度がいい魚、脂が乗った魚は見た目で判断できる。色艶がいいものは総じて旨い。確認すべきところを覚え、売り場では同じ魚種でも、よりよい個体を選びたい。

【丸魚の見極め方】
「小顔で目が張り出し筋肉質、美形の魚を選ぶべし」

鮮魚店などに行くと、丸魚(まるざかな)を販売している。昨今は購入をためらう向きもあるかもしれないが、丸で買うほうが得だと、豊洲市場の水産仲卸『島津商店』の島津修さん(50歳)は語る。

「魚をおろすと、可食部は一尾の約4割といわれます。丸で買えば、刺身、焼きや煮物など様々に楽しめて、頭などのアラもお吸い物にしたりと可食部が増えます。魚をおろす手間賃がかからないので、その意味でも割安です」

一見して美しい魚は鮮度よし

鮮度のよい丸魚はまず一見して美しく、色艶がいいという。

「海で泳いでいる魚は美しく、光沢があります。陸に水揚げされ、処理や輸送をする間に酸化などにより、鮮度が落ちてしまう。だから、海にいる時の状態になるべく近いものがいい。そして新鮮なものは目もきれいに澄んでいます。魚眼レンズという言葉がある通り、魚は後方を見ることができるので本来は目が外側に張り出しているから、そういったものを選ぶ。さらには体表を手で触ると、ぬめりがあるのも特徴です。粘液は魚体を保護し、これにより魚は水中を泳ぐことができるのです」

また、脂乗りのよい、太って厚みがある魚を買うことも美味の大事な条件だ。餌がたくさんとれる魚は生命力が強い。体に溜ため込んだ栄養は筋肉に変わり、さらに体は大きくなる。それが顕著に現れるのが、肩から背の部分だ。相対的に顔は小さく見える。

そして尻びれと腹びれの間にある肛門の締まり具合も目安となる。新鮮なものは肛門が見えにくい。しかし死後硬直から時間が経つにつれて肛門が開き、点状の肛門が見てわかるようになる。

丸魚のココに注目!
1、 顔が小さく身に厚みがあるか?
2、 目が張り出しているか?
3、 色艶がよく、光沢があるか?
4、 表面にぬめりがあるか?
5、 肛門が締まっているか?

淡泊ながら風味豊かで、味・色・姿とも最高の魚とされる真鯛。天然物の旬は、産卵前の春の桜鯛、産卵後、再び脂が乗ってくる秋の紅葉鯛だ。写真は天然の真鯛。

【真鯛の見極めポイント】
◎天然物と養殖物は尾びれが違う。天然物は尾びれがピンと張り、美しい赤色。養殖物は底の浅い場所で飼われ、尾びれが発達しないため、尾の先が丸くなる。◎新鮮なものは目に濁りがなく澄む。膨らんで盛り上がり、外側に張り出しているが、時間が経つと、目の水晶体が壊れて沈む。◎筋肉が発達し、さらに脂乗りもよいと、肩から背にかけて大きく盛り上がり、身が厚くなる。そのため自然と顔が小さく見える。◎全体に張りと弾力があるものを。体表に粘液がついていて、光沢、色いろ艶つやがよく、鱗うろこがきれいに揃っているものを選ぶ。◎鮮度がいいと肛門が締まり、その存在自体が見えない。

上から、金目鯛、秋刀魚、カサゴ、真鯵、真鯖、イカ。

上から、金目鯛、秋刀魚、カサゴ、真鯵、真鯖、イカ。

【金目鯛の見極めポイント】
深海魚で、その名の通り金色に光る大きな目を持つ。目が濁りなく盛り上がったものを選ぶ。表面にぬめりがあると鮮やかな赤金色に。

【秋刀魚の見極めポイント】
「秋の刀」という名に象徴されるように皮がぴんと張り、全体が輝いているものがよい。脂乗りがいいと口先や尾の中央が黄色になる。

【真鯵の見極めポイント】
体表に艶があるものがいい。鮮度が落ちるにつれて、しわしわした印象へと変化する。新鮮だと、目の透明部分に張りがある。

【カサゴの見極めポイント】
磯魚であるカサゴは、刺さし網あみで獲られる。身が傷ついていない、全体的に生き生きしたもの、腹部がしっかりしたものを選ぶとよい。

【イカの見極めポイント】
海中では透き通っている。水揚げ後、空気に触れると褐色になるが、なるべく透明感のあるきれいなものを。胴に弾力があるものもいい。

【サクの見極め方】

「色艶がよいもの、形が整ったものを選ぶべし」
サクとは、魚の丸ごと一尾から内臓や血合い(濃い暗赤色の筋肉部分)を取り除き、半身におろしたあと、尻尾部分などを切り分け、販売用に成形したものである。

「鮪などの大型の魚は、サクの形により部位を判別できます。頭に近いサクは長方形、尻尾の付近は三角形をしている。また背骨を境にして、背側か腹側かにより脂の乗りが違います。背側は赤身が多く、腹側は内臓に近いので脂が強くなる。とりわけ鮪などは、筋により食感が大きく左右されます。頭と尾に近い部分の身は、筋が多く固い傾向です」(島津さん)

赤身も白身も弾力あるものを

刺身で食すことを前提にしたサクは、鮮度の見極めも肝要となる。「赤身や脂分の多いトロ、鮃などの白身もすべて色艶がよく、身に透明感があるものがいい。弾力があり、形がだれていないものを選びます」(島津さん)

鰹は鮮度が落ちやすい魚の代表格である。生食する場合は、購入したその日に食べ切るのが理想的だ。皮が剥いである場合は皮ぎわの表面も酸化しやすいので、茶色く濁ったものは避けるのが懸命だ。

サクのここに注目!
1、 色艶がよく、透明感があるか?
2、 全体の形は長方形か三角形か?
3、 筋(すじ)の入り方はどうか?

上から、鰹、鮪(中トロ)、平目。

【鰹のサクの見極めポイント】
サクの高さがあるほど魚体が大きく、脂も乗っている。筋肉質の背側は赤く、脂の多い腹側はやや白みがかっている。

【鮪(中トロ)のサクの見極めポイント】
赤身は発色がいい赤色で、筋が薄いか、ないものを選ぶ。中トロはきれいなピンク色で、筋の線が細く、等間隔のものを選ぶとよい。

【平目のサクの見極めポイント】
白身の高級魚。サクは皮引きされた状態。皮と身の間の皮下脂肪が残っているもの、縁側つきのもの、透明感のあるものがよい。

【切り身の見極め方】
「血合いの色が黒ずんでいないものを選ぶべし」

切り身は、血合いから多様な情報を得ることができる。

「血合いは、酸化すると黒ずみます。鮮やかな赤色であれば、新鮮な証拠です。さらに庖丁で切ると、部位により形も変わります。血合いが三角のきれいな銀杏形だと頭に近く、斜めに大きい場合は尾の付近とわかります」(島津さん)

ただし、切り身は成形の過程で空気に触れざるを得ないのも事実。

「加熱して食べるので、透明感にこだわらなくても大丈夫です。例えば鰆(さわら)は乳白色でも問題ない。くすんでいたり、黄色みがあるものは避けてください」(島津さん)

切り身のココに注目!
1、 血合いの色をチェック。
2、 全体の色がくすんでないか?

上から、鰆(さわら)、鱈(たら)、鮭(さけ)、蒸し蛸(たこ)、鰤(ぶり)の切り身。

【鰆(さわら)の切り身の見極めポイント】
血合いがきれいな三角形で銀杏形のものを選ぶ。これは、大きい鰆の証拠。大きい鰆は脂が乗っている。身割れしていないものがよい。

【鱈(たら)の切り身の見極めポイント】
切り身でも透明感があり、すき通るように白いものがよい。元来、腹の薄い魚なので、腹に栄養を蓄えた肉厚のものを選ぶ。

【鮭(さけ)の切り身の見極めポイント】
腹に厚みがあり、色が鮮やかなものを選ぶ。身に白い脂が入った養殖物は白色部分に濁りがなく、酸化していないものがよい。

【蛸(たこ)の切り身の見極めポイント】
足は太く、吸盤に弾力があり、よく巻き付いているもの、表面に艶があり、乾いていないものがよい。

【鰤(ぶり)の切り身の見極めポイント】
皮近くの右上部分が血合い。きれいな赤色のものを選ぶ。脂の多い腹側の部位は、身がうっすらとピンク色を帯びたものがよい。

出典:サライ.jp